Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゃっこう
晩年
Lesen Sie 晩年 (ぎゃっこう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.459 Zeichen · 91 Bildschirme
そう言えばあれは確かに秋でございました。
「秋まで生き残されている蚊を哀蚊と言うのじゃ。蚊燻しは焚かぬもの。不憫の故にな」
ああ、一言一句そのまんま私は記憶して居ります。婆様は寝ながら滅入るような口調でそう語られ、そうそう、婆様は私を抱いてお寝になられるときには、きまって私の両足を婆様のお脚のあいだに挟んで、温めて下さったものでございます。或る寒い晩なぞ、婆様は私の寝巻をみんなお剥ぎとりになっておしまいになり、婆様御自身も輝くほどお綺麗な御素肌をおむきだし下さって、私を抱いてお寝になりお温めなされてくれたこともございました。それほど婆様は私を大切にしていらっしゃったのでございます。
「なんの。哀蚊はわしじゃがな。はかない……」
仰言りながら私の顔をつくづくと見まもりましたけれど、あんなにお美しい御めめもないものでございます。母屋の御祝言の騒ぎも、もうひっそり静かになっていたようでございましたし、なんでも真夜中ちかくでございましたでしょう。秋風がさらさらと雨戸を撫でて、軒の風鈴がその度毎に弱弱しく鳴って居りましたのも幽かに思いだすことができるのでございます。