Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くらがりのおとまつ
暗がりの乙松
山本 周五郎
Lesen Sie 暗がりの乙松 (くらがりのおとまつ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.992 Zeichen · 25 Bildschirme
「不幸続きのあげくがおらの長患いで、とうとうお絹を泥の中へ沈めてしまった、それを思うとおらあ――自分の体の治ったのが恨めしいだ」
「馬鹿なことを云うもんでねえぞ」
嘉兵衛は労わるように云った、「お絹が身を売ったなあおめえのためじゃあねえ、もとはといえばみんなおらの向うみずが祟ったことだ」
この付近で『上畑』といえば、田地山林の五六十町歩もある大百姓であった。
前代の嘉兵衛までは代々名主を勤め、韮山代官の竿入れ(年貢改め)にも与ったほどの家柄だったが、いまの嘉兵衛が人の口車に乗って、葡萄の酒造りという新奇な仕事に手を出し、大掛りに葡萄の栽培を始めたのが不運のつき始め、失敗に次ぐ失敗を重ねた結果、十年あまりのあいだに田地山林は手放す、屋敷の地所まで売って今は、この家構えさえ年貢や借金の抵当に取られている始末になっていた。――しかもそのうち、大口の借金が今日に迫った返済で、のっぴきならぬ土壇場というありさまである。
「おめえが今さら泣くよりも、お絹のやつが自分から――おらを売ってくれろと云われた時にゃ、男のおらが……腸を掻られるような思いだっただ」
嘉兵衛は涙を押拭って、「だがのうお秀、お絹に煮湯を呑んでもらったお蔭で、二百両という金が手に入っただ。