Japanische Klassiker mit Furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Lesen Sie 暦 (こよみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.332 Zeichen · 112 Bildschirme
片手で南天の杖をつき、片手で馬乗りの実枝を支え、ひょこひょこ歩きながら歌う。「ほんそよ、宝よ、俵ぶるいよ、こんなかしこい児がめったとあろうか、やれ、めったとあろうか」
そして飯時がくればいねに代って釜の下を炊きつけた。
「おばあ、ぼた餅しておくれ」
「おばあ、やき芋しておくれ」
「おばあ、豆煎っといておくれ」
母親には叱られていたそんな要求も、祖母はよく聞き届けてくれた。その代りに夜になると一ときずつこのおばあの肩を叩かねばならない。八重が先立になって偉いもんは寄ってこい、と拍子をとってとんとん叩きはじめると、アグリもクニ子も小さい実枝も我がちにかやの背や肩を後から横からとんとんたたくのである。かやは喜びの悲鳴をあげ、一日の労苦を忘れた。
ある日、かやは旗日でもないのに何を思いついたのか、赤飯を炊くことを孫たちと約束した。朝から小豆を洗ったり、米をといだりしてようやく昼前に釜の下を引いたかやは、やれやれといいながら茶の間へ上った。それきり静かになったのをいねは、いつものように窓にもたれて小学生のアグリやクニ子や、醤油試験場の事務所に勤めている八重たちがお昼に戻るのを待っているのだと思っていたが、何かいつもとは異った、虫の知らせとでもいうような気配を感じて、不自由な足を引きずって納戸から出てきた。