Japanische Klassiker mit Furigana
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どんてん
曇天
宮本 百合子
Lesen Sie 曇天 (どんてん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.546 Zeichen · 4 Bildschirme
此頃、癖になって仕舞ったと見えて、どうしても私は九時前には起きられない。
今日も、周囲の明るさに、自然に目を覚したのは彼此十時近くであった。
髪を結ったり、髪を洗ったりして食堂に行くと、広い室屋の中に母や弟達が新聞を読んで居た。
ボソボソと、独りでシチューで御飯をたべる。
なまけた重い眠りが、まだ瞼や頬にまといついて居る様で、御飯の味もろくにしなかった。
此間電話を掛けて呉れて、その時一寸覚えで居たまま忘れて仕舞ったK子の住所が気になってたまらない。
彼の時一寸、宿所帳に書きつけて置けば何でもなかったのにと、及ばない後悔が湧いて来る。
もう、一生彼の人には会う機会も、便りをやる所もなくなってしまった様な気がして、彼あ云う家業が家業だけに余計思い患われる。
そんな事を思いながら、本を読んで居たけれ共、何にも気が入らないので、何だか落つかないいやな空合を窓からぼんやりながめて居ると、今仕かけて居る仕事のはかどらない歯がゆさにむずむずして来る。
この八月中に下書きだけでも出来上らせて仕舞わなければならないと思って居るのに一向に筆が進まない。
考ばかり美くしく生れて来ても、手の方で甘く行って来ないのを思うと、私の頭が如何にも空虚な様で悲しくなる。