Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つきかげ
月かげ
豊島 与志雄
Lesen Sie 月かげ (つきかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.867 Zeichen · 14 Bildschirme
弱っちゃったわ。それから、こんどはあんなに、にやにや独り笑いをしだして、その笑い方がまた変なんでしょう。気がどうかしたんじゃないでしょうか。」
「だって、ここへ時々来る人だろう。」
「ええ、何度かいらしたわ。それに今から考えると、いつもにやにやしてて、何だか普通と違ってたようなんですよ。」
「じゃあ狂人かね。」
「だと困るわ、気味が悪くて……。」
「なに大丈夫だ、狂人だったら僕が引受けてやる。笑い上戸の狂人なんか僕は大好きだよ。その代り熱いのをも一本頼むよ。……あ、もう一時だね。じきにおしまいにするよ。」
「いえ、まだいいのよ。」
お光が向うに行って、他の女達に何やら囁いて、銚子を取りに奥へはいっていった間、私は煙草に火をつけて、かるく煙を吐きながら、青年の方をじっと眺めやった。すると彼も私の様子を見て取って、さも友人にでもめぐり逢ったかのように、露わににこにこ笑いかけてきた。私も仕方なしににっこりとしてみせた――というより寧ろ、彼の笑いに引入れられたような工合だった。そして一寸、後の始末がつかないといった風な、変梃な時間が続いたが、その時、ぼーんと一つ彼方の天井下で、掛時計が一時を打った。