Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼうがくととうきょう
望岳都東京
木暮 理太郎
Lesen Sie 望岳都東京 (ぼうがくととうきょう) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.243 Zeichen · 61 Bildschirme
此等の山は渡鳥のようなもので、春の末からそろそろ霞の奥に姿を隠しはじめて、夏になると全く見えなくなり、そして秋の初頃から再びそろそろ姿を現して来ますが、ただ見るだけ、山をぼんやり見るだけで満足するならば、九月中旬から十月下旬までの間に、しばしば見られますけれども、山の襞まですっかり見ようと云うことになると、非常に空気の澄んだ日でないと駄目で、そうなると如何しても冬でなければいけないことになります。ところが又、ただ空気が冴えているだけでは、充分でありません、というのは、東京の近所は工場が多く、冬は殊に煤煙が多いから、どうしてもその煤煙を吹き飛ばす丈の風が吹いて居なければならず、そうかと言って余り風が強いと、地面の埃が吹き立てられて又邪魔になる、中々条件がむずかしいのであります。雨か雪が降った後で非常によく晴れた、そして少くとも北西の風が秒速十米前後の速力を以て吹いて居る日であれば先ず申分がない。
ですからほぼ条件に叶って、遠くの山が望めそうに思える日には、出かける前に先ず富士山を眺める。その富士山が若し見えぬようならば全然駄目です。たとえ富士が見えて居っても朧ろげではいけない。