Japanische Klassiker mit Furigana
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あさのかぜ
朝の風
宮本 百合子
Lesen Sie 朝の風 (あさのかぜ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.605 Zeichen · 31 Bildschirme
初めはどれも同じように見えるその細い踏みあとを辿ってだんだんと歩いてゆくと、その一本はやがて次第に左へ左へと、原の端れを三角に走って町から町への近路となっており、中途から岐れた一本は辛うじてそれとわかるほど細まりながら、丁度例の緑青色の円屋根のついた赤煉瓦の塔の下へ出た。下まで来て見上げれば、その塔の中に見張人のいることもわかる。そのあたりの同じように建てられた家の塀は皆同じように赤煉瓦づくりで、それがどれもこれもメジをはがしたあとのそっくり見える古煉瓦でつくられていて、どうしてこんな煉瓦ばっかり集めたのだろうという疑がおのずとおこったとき、初めて人々は深くうなずくのであった。これらの古煉瓦こそ、あの明治時代からあった高塀からとって来られたもので、この一廓はもと占めていた敷地の四分の一ほどのところ迄退いているが、全然この土地から消えているのではなくて、愈々新式に整備されて、あまたの人を養いながら、そこにたっていることを知るのである。
原っぱの端れあたりからの遠見だと、コンクリートの高さはわからないから何かの大きい工場のように見えるその建物が落成したとき、新聞に記事がかかれた。