Japanische Klassiker mit Furigana
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きぼりウソをつくったとき
木彫ウソを作った時
高村 光太郎
Lesen Sie 木彫ウソを作った時 (きぼりウソをつくったとき) von 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.464 Zeichen · 5 Bildschirme
風切りの黒と、尾羽根の黒との間にちらちらと、下尾筒の雪白の毛が隠見する。これが中々シックだ。この白い毛は春先の頃になると幾分多くなるように観察された。琴ひくような、夢みるような、咽喉をふくらまして長く引っぱる唄を謡い出す頃である。彫刻にしても彩色したらこの一個所の白が恐らく甚だ効果的であろうとその時考えた。片足をちぢめて腹の中へ入れ、その腹の羽毛が少し立っているのもおもしろい。
何にしろ黒じみず垢じみず、梅林のけはいの何処かにしみこんでいる、すぱりとして鋭いくせに、またおっとりした、このドナテロのサンジャンのように直立している山の小鳥の気魄を木で出して見たくてたまらなくなり、それから鑿を研ぎ、小刀を研ぐのに二、三日かかって、わき目もふらずに彫りはじめて七日目にやっと出来た。出来た結果は思の半分にも及ばないが、毎日懐に入れて持って歩いた。飯屋でもそれを出して見ながら飯をくった。まだ健康だった頃の智恵子が私にも持たせてくれとせがんだ。いつぞや第一回大調和展覧会に出品した木彫ウソを作った時の話である。