Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きそおんたけのりょうめん

木曽御嶽の両面

吉江 喬松

Lesen Sie 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) von 吉江 喬松 (よしえたかまつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.819 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「大変な気焔だね、山の中で何をしていたんだい。」

「なあに、大勢で木を伐っていたんでさあ。」

「面白いだろうね。」

「若い奴ばかり集っておりますからね、ははははは。」

「寂しかないかね。」

「寂しいたって、お前様、仕方がねえ、せっせと稼じゃ、こうやって時々家へ帰るんでさあ。」

「他の者は?」

「他の奴らは未だ残っております、可愛そうに、若い奴らだから女を恋しがって、ね、それでも、俺のいう事を聞いて黙って働いていまさあ……。」

老爺は酒臭い息を吐きながら、脊負子を脊負って、大声で話し掛けながらやって来る。

入日は峰の雲に隠れてしまった。径は登り尽くして平らになった。樅の木が立枯れして、白く骸骨のようになって立っている。もう一度振返って見た。飛騨にはもう雲が落ちて、今日通って来た辺などの見当は少しもつかない。この山を向うへ下りると、またいつこの飛騨の地などへ来れるか分らんと思うと、懐かしいような気がして暫く立っていて見た。

下り坂の端に立った。ぱっと一道の虹が深谷の中から天に向って沖している。深い深い何丈とも知れない谿だ、ざあざあと水音らしい響が聞えて来る。谿底はもう薄暗い。