Japanische Klassiker mit Furigana
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きそがわ
木曾川
北原 白秋
Lesen Sie 木曾川 (きそがわ) von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.659 Zeichen · 52 Bildschirme
三
「や、万歳、勝負なし」
三
「ほら、坊や、さよならだ、帽子をお振り」
「さようならァ――」
「もひとつ」
「さようならァ――」
下りの高瀬舟に坐っているのは私たち親子と雀のお宿の主人との三人である。
彩雲閣の二階からは盛んに白いハンカチーフがゆれて光る。女中たちである。
私たちも一寸芝居気を出して、パナマや雀頭巾を振る。童話の中の小さな王子のお蔭で、朗らかに朗らかに私たちも帽子が振れるというものだ。
私たちは下る。赤い雌松の五、六本をあしらった二重舞台の楼閣が次第次第に白帝城の翠巒に隠れてゆく。ちらとまたその隙間から白いひらひらが見えたかと思うと、また老樹の樫や楓の鬱蒼たる枝の繁みに遮られてしまう。と、それっきりで、八月八日は午前十一時の閑寂なせみ時雨になる。日本ラインとのお別れである。
水道の取入口も過ぎ、西谷は迎帆楼の前も過ぎた。あの前での昨日の人だかりというものは昼の花火の黄煙菊よりも埃をあげた。丁髷鬘の赤陣羽織に裁付袴の爺どもが拍子木に鉦や太鼓でライン酒とかの広告の口上をまくし立てる。その幟の蔭から、盆の上のリキュウグラスに手を出して無料じゃ無料じゃという赤いのを一杯試し飲みして見たところで、「これは焼酎かね」