Japanische Klassiker mit Furigana
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りんご
林檎
豊島 与志雄
Lesen Sie 林檎 (りんご) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.752 Zeichen · 24 Bildschirme
彼は口を尖らせて、私の答えを待ち受けるもののようだった。私は云った。
「大丈夫ですとも。だって去年の秋のことでしょう。」
「ええ、去年の秋……そうです。それから私はずっと、子供のことばかり考えてきました。なぜもっと可愛がってやらなかったろうかと、そう思うとはっきり顔が見えてきます。始終にこにこ笑っていましたよ。死んだ時にも笑っていました。片方の目を細く開き口を開いて笑ってるものですから、それを閉じさせるのに骨が折れたくらいです。あの時は三つでしたが、四つ……五つ……六つ……と、だんだん可愛くなるばかりです。生きてたらもう私と一緒に、公園なんか散歩するでしょう。そろそろ学校へも上る頃ですね。屹度よく出来るに違いありませんよ、利口な子でしたからね。そしてだんだん綺麗になってゆくんです。母親は綺麗じゃありませんでしたが、不思議に子供は上品な立派な顔をしていました。がそれももう、ずっと昔のことです。どうかすると何もかもぼんやりして、忘れそうになることがあります。そんな時私は、堪らないほど淋しい陰欝な気持になります。然しまたすぐに諦めます。子供はいくらも世間にいますからね。