Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かきのたね

柿の種

寺田 寅彦

Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、あれは実際はやはり非常にだいじな役目であるに相違ない。

そう思うと太鼓の人に対するある好感をいだかせられる。

ロシニのスタバト・マーテルを聞きながら、こんなことも考えた。

ほんとうのキリスト教はもうとうの昔に亡びてしまって、ただ幽かな余響のようなものが、わずかに、こういう音楽の中に生き残っているのではないか。(大正十二年一月、渋柿)

*

大学の構内を歩いていた。

病院のほうから、子供をおぶった男が出て来た。

近づいたとき見ると、男の顔には、なんという皮膚病だか、葡萄ぐらいの大きさの疣が一面に簇生していて、見るもおぞましく、身の毛がよだつようなここちがした。

背中の子供は、やっと三つか四つのかわいい女の子であったが、世にもうららかな顔をして、この恐ろしい男の背にすがっていた。

そうして、「おとうちゃん」と呼びかけては、何かしら片言で話している。

そのなつかしそうな声を聞いたときに、私は、急に何物かが胸の中で溶けて流れるような心持ちがした。(大正十二年三月、渋柿)

*

数年前の早春に、神田の花屋で、ヒアシンスの球根を一つと、チューリップのを五つ六つと買って来て、中庭の小さな花壇に植え付けた。