Japanische Klassiker mit Furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme
穴を見つけても通れない人もある。
それは、あまりからだが肥り過ぎているために……。
しかし、そんな人でも、病気をしたり、貧乏したりしてやせたために、通り抜けられるようになることはある。
まれに、きわめてまれに、天の焔を取って来てこの境界のガラス板をすっかり熔かしてしまう人がある。(大正九年五月、渋柿)
*
宇宙の秘密が知りたくなった、と思うと、いつのまにか自分の手は一塊の土くれをつかんでいた。そうして、ふたつの眼がじいっとそれを見つめていた。
すると、土くれの分子の中から星雲が生まれ、その中から星と太陽とが生まれ、アミーバと三葉虫とアダムとイヴとが生まれ、それからこの自分が生まれて来るのをまざまざと見た。
……そうして自分は科学者になった。
しばらくすると、今度は、なんだか急に唄いたくなって来た。
と思うと、知らぬ間に自分の咽喉から、ひとりでに大きな声が出て来た。
その声が自分の耳にはいったと思うと、すぐに、自然に次の声が出て来た。
声が声を呼び、句が句を誘うた。
そうして、行く雲は軒ばに止まり、山と水とは音をひそめた。
……そうして自分は詩人になった。