Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かきのたね

柿の種

寺田 寅彦

Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

人を見ても逃げもせず、かえって向こうから近寄って来た。

どこかにしまってあるはずの鳥籠を探しているうちに、見えなくなったと思ったら、納戸の中へはいり込んでいた。

籠に入れてから、さっそく粟を買って来て、それを餌函に入れてやろうとしていると、もう籠の中からそれを見つけてしきりに啼き立て、早くくれとでもいうように見えた。

菜っ葉をやると、さもうまそうについばんでは、くちばしを止まり木にこすりつけた。

日向につるしてやると朗らかに鳴きだしたが、声を聞いてみると立派なローラーである。

猫の「ボウヤ」が十月に死んでから、妙にさびしくなった家が、これでまた急ににぎやかになったような気がして、それからは、毎朝新しい菜っ葉をやっては、玉をころがすような朗らかなワーブリングを聞くのが楽しみであった。

ところが、今朝家人がえさを取り替える際に、ちょっとの不注意で、せっかくのこの楽しみを再び空に遁してしまった。

惜しいというよりはかわいそうな気がした。

夕方家へ帰って見ると、見馴れぬ子猫が一匹いる。

死んだ「ボウヤ」にそっくりの白い猫である。

今朝、どこからか迷って来たのが、もうすっかりなついてしまって、落ち着いているのだそうである。