Japanische Klassiker mit Furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme
曙町より(二十一)
ほんの一週間ぐらい東京へ帰ってまた出て来たような気がする。もっともこれは、去年帰るときに子供らをのこして帰り、今年は先に子供らをよこしてあったので往き帰りの引っ越し騒ぎに関与しなかったからでもあるらしい。
しかし、なんだか、東京にいる間は「星野の自分」が眠っていてその間は「東京の自分」が活動しており、星野へ来るとはじめて「星野の自分」が眼を覚まして活動しだしたといったような気もする。
軽微なる二重人格症の症状とも言われるかもしれない。しかし、たとえばいろいろな月給生活者でも、勤め先における自分の生活と家庭における生活とはやはりある程度までは別の世界であり、その二つの世界ではやはりそれぞれ二つの別の自分があるのでははいかという気もする。(昭和九年八月、渋柿)
曙町より(二十一)
昭和九年八月十五日は浅間山火山観測所の創立記念日で、東京の大学地震研究所員数名が峯の茶屋の観測所に集合して附近の見学をした。翌十六日は一行の中の、石本所長と松沢山口両氏ならびに観測所主任の水上氏と四人が浅間に登山したが、自分と坪井氏とは登らなかった。石本松沢山口三氏はその日二時十五分沓掛発の列車で帰京し坪井氏は三時五十三分で立ち、自分だけ星野温泉に居残った。