Japanische Klassiker mit Furigana
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かき
柿
山本 周五郎
Lesen Sie 柿 (かき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.565 Zeichen · 25 Bildschirme
七
「誰だろうな」
兵馬は不審に思いながら、出仕姿のまま客間へ入って行った。
灯に外向いて、一人の女が悄然と坐っている、年は二十二三であろうか、武家風には装っているが、どこかそぐわぬところのある体つきだし、ちらと兵馬の方を見上げた眼は、怯えた者のように顫えていた。
「拙者が走川兵馬です、お待たせしました」
「……お留守に上りまして」
「なにか御用ですか」
「はい、是非……申上げなければならぬことがございまして」
女は健康そうな円い膝の上に、肉付のいい指をきちんと重ねながら云った。
「伺いましょう、どんな事です」
「牧野様の若旦那さまのことに就きまして」
「……牧野がどうかしたのですか」
「わたくし、少しも存じませんでした」
そう云って、急に女は眼を押えた。……嗚咽がつきあげて来たのだ。
「わたくし、琴と申します」
「…………」
「若旦那さまは、わたくしを、妻だとおっしゃっているそうでございます。わたくしの産んだ子を、御自分のお子だと、お上へお届けになったそうでございます。……嘘なのです、みんな嘘でございます」
七
兵馬は色を変えた。
「嘘とはどういう訳です、なにが嘘なんですか」