Japanische Klassiker mit Furigana
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くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme
そいつらはらんちゅうとか獅子頭とか云うので、育て方がひじょうにむずかしく、父の丹精は誰にもまねのできないものだったそうだ。……父はそいつらを御殿へ献上するので、いっそう大事にするということであるが、それはそうかもしれないが、悠二郎は父が案外な手ぬかりをしているのを発見した。それはなにかというと、父は大事にするあまり、金魚どもの鰭や尾が伸びすぎているのに気がつかない、だからそいつらは鰭や尾が邪魔になって、満足に泳ぐことができないのである。――まるで赤ん坊が振袖でも着たように、躯をくねくねさせ、のたのたした草臥れたような恰好で、重たそうにやっとこさ泳ぐのである。
悠二郎はそいつらが可哀そうになった。そこで鋏を持って来て、一尾ずつ捉まえて、その伸びすぎた鰭や尾をちょうどいいくらいに切ってやった。――そうして七尾めを切ってやっていたとき、団栗まなこの黒板権兵衛にみつかったのである。彼は殺されるような声で叫び、まず母がとんで来た、それから家扶の渡辺老、兄の松太郎、誰も彼もみんな、家じゅうの人間が集まって来たには驚いた。
「私たちだって髪毛や爪が伸びれば、切るんですから、金魚だって可哀そうじゃないでしょうか」