Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「――そこへは、若もゆけるの」

「いかれやしねえさ、いけると面白いんだがな、芝居もあるし、観音さまにゃあ軽業もかかるしよ、ろくろっ首って見たことがあるかい」

「――若はいつか、……いつか、能を観た」

そんなぐあいに話もするが、たいていちぐはぐで、悠二郎はいつも軽侮に堪えないという顔をし、それから気の毒になって、自分の楽しい経験を詳しく物語るのであった。

新泉が出て来はじめると、若君はまた新泉をひきつけて離さなかったが、悠二郎にも疎くはしなかった。ただ二人がどうしても折り合えないということは察したとみえ、悠二郎には決して新泉の話をせず、新泉に悠二郎のことは黙っていたようだ。

若君を屋敷からぬけ出させて、浅草界隈の面白いところを見せてやりたい。悠二郎はその頃からよくそう空想していた、もちろん空想するだけで、実際にやろうとも思わなかったし、そんなことが出来るとも考えなかった。しかしやがて機会がやって来て、その夢のような空想が実現できるようになったのである。

五

若君が十二歳になった年、六月から八月いっぱい、本所の下屋敷ですごすことになった。躯が虚弱なので、医師と勘右衛門の主張で定ったらしい。