Japanische Klassiker mit Furigana
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くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme
「そんなに怒らなくったっていいわよ、ただちょっときいただけじゃないの、そんなにもぽんぽん云わなくったっていいでしょ」
「うるせえ、あっちへいってろ」
つまらないのでごろっと横になる。
「どうなさるの、でかけるんじゃないんですか」
「うるせえって云ってるだろう、聞えねえのか」
三度ばかりいったけれど、たいてい二時間ばかりいると飽きて、つまらなくなって帰って来てしまった。ときには茶間に坐りこんで仙吉やおつねと話しもした。仙吉はおりおり勘右衛門へ挨拶にいくのでそっちの話もよく出た。
「このあいだは酒のお相手をして来たが、御隠居さまもめっきり弱くおなんなさいましたね」
「そうかなあ、おれは半月ばかり会わねえから、知らねえ」
「そのときも話が出たんですが、悠さん此処からお帰んなすったときずいぶんお困んなすったんですってね」
「なんだっておめえ当りめえよ、今まで野放しに育ったんだ、それこそ年じゅう裸で、好き勝手にとびまわっていたのが、着物をきちんと着て袴をはいて、腰にあ刀を差して行儀作法だ、……おまけにそれが悪戯ざかりの七つてえ年なんだから堪らねえやな」
「まったくね、あの日ここで支度をなさるとき、べそをかいてらっしゃるのを見て、あたし涙が出て涙が出てしようがなかったわ、夜中にひょいと眼がさめると眠れないのよ、いまごろどうしていらっしゃる