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Japanische Klassiker mit Furigana

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くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

だが悠二郎はそんな妙な「じじい」などには興味がなかったので、おちついて話したことなどいちどもなかった。――そんなことより遊ぶのでいそがしい、飯を食うひまも惜しいくらいいそがしかった。なにしろ家が舟宿で、隅田川があって、浅草寺が近いのだから、遊ぶに事を欠かないのである。食事と寝るときのほか、雨が降ろうと風が吹こうと、家の中で彼の姿をみることなど殆んどなかった。

悠二郎は五つのときすでに近所じゅうでのがき大将であった。躯つきは痩せて小さかったが、知恵のまわるのとすばしっこいことは無敵で、たいてい年上の子と暄曄をしても負けたことがない、――いつも着物はかぎ裂き、手足は泥んこ、どこかにひっ掻き傷か瘤をでかしていないことはなかった。そうして晩飯の膳で、片方の眼かなにか紫色に腫らした顔で、せかせか飯をかっこみながら云うのであった。

「ちきしょう、あの勝んべの野郎、みてやがれ、あしたとっ捉まえたら……」

こっちは花川戸から山の宿、今戸、橋場あたり、川を越しては小梅から向島へかけて、「舟仙の悠ちゃん」と、すっかり名がとおった。子供たちばかりではなく、その子供の親たちにまで知れわたり、またそういう親たちが苦情をもちこむので、仙吉夫婦もずいぶん交際がひろくなっていった。