Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さくらのみのじゅくするとき

桜の実の熟する時

島崎 藤村

Lesen Sie 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.569 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

抑も人間の生涯に思想なる者の発芽し来るより、善美を希うて醜悪を忌むは自然の理なり。而して世に熟せず世の奥に貫かぬ心には、人生の不調子、不都合を見初める時に、初理想の甚だ齟齬せるを感じ、想世界の風物何となく人を惨憺たらしむ。知識と経験とが相敵視し、妄想と実想とが相争闘する少年の頃に、浮世を怪訝し厭嫌するの情起り易きは至当の者なりと言うべし。人生れながらにして義務を知る者ならず、人生れながらに徳義を知る者ならず、義務も徳義も双対的のものにして、社会を透視したる後『己れ』を明見したる後に始めて知り得べきものにして、義務徳義を弁ぜざる純樸なる少年の思想が始めて複雑解し難き社会の秘奥に接したる時に、誰か能く厭世思想を胎生せざるを得んや。誠信を以て厭世思想に勝つことを得べし。然れども誠信なるものは真に難事にして、ポオロの如き大聖すら嗚呼われ罪人なるかなと嘆じたることある程なれば、厭世の真相を知りたる人にして之に勝つ程の誠信あらん人は凡俗ならざるべし」

読んで行くうちに、捨吉はこの文章を書いた人の精神上の経験が病的とも言いたいほど神経質に言葉と言葉の間に織り込まれてあるのを感じて来た。