Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さくらのみのじゅくするとき

桜の実の熟する時

島崎 藤村

Lesen Sie 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.569 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

の庭も、庭の樹木も、一度あの白い綿のような雪で埋められたかと思うと、一晩のうちにそれが溶けて行って、新しい生命の芽が余計にその後へあらわれて来た。おッつけもうその庭も花と若葉の世界に変ろうとしていた時だ。時々屋根の上を通過ぎる温暖い雨の音を聞きながら、捨吉は四月の来るのを待った。

十一

四月が来た。しばらく聞かなかった学校らしい鐘の音が復た捨吉の耳に響いて来た。初めて見る教員室の前から、二階の教室の方へ通う階段の下あたりへかけて、長い廊下の間は思い思いに娘らしい髪を束ね競って新しい教育を受けようとしているような生徒等の爽かな生気で満たされた。その中には教師としての捨吉と同年配ぐらいな生徒があるばかりでなく、どうかすると年長に見える生徒すらもあった。彼は早や右からも左からも集って来る沢山な若い人達に囲繞かれた。

そこが麹町の学校だ。相変らず捨吉は黙し勝ちに、知らない人達の中へ入って行った。中庭に面した教員室で、彼は男女の教師仲間に紹介された。すこし癖はあるが長めにした光沢の好い頭髪を関わず掻揚げているような男の教師の前へも行って立った。

「岡見君です」