Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
Lesen Sie 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.569 Zeichen · 222 Bildschirme
「弘さんはなかなか悧巧ですから」と民助が言った。
「しかし、あんまり記憶の好いのも心配です」と細君が言った。「私の兄の幼少い時が丁度これだったそうですからねえ」
「彼女の兄というのは二十二か三ぐらいで亡くなりましたろう。学問は好く出来る人でしたがねえ」と主人は民助に言って聞かせた。「実は、私もお婆さんや米のように思わないでも有りません。どうかすると私は弘の顔を見てるうちに、この児にはあんまり勉強させない方が好い、田舎へでも遣って育てた方が好い、そう思うことも有りますよ」
「そのくせ、父さんは一番物を教えたがってるくせに――一番甘やかすくせに」と言って細君は笑った。
夭死した細君の兄の話から、学問に凝ったと言われた人達のことが皆の間に引出されて行った。田辺の親戚で、田舎に埋れている年とった漢学者の噂も出た。平田派の国学に心酔した捨吉等の父の話も出た。
「捨吉、そんなところにかしこまって、何を考えてる」と主人が励すように言った。
「皆これでどういう人に成って行きますかサ」と細君は吾児と捨吉の顔を見比べた。
お婆さんは首を振って、「捨さんの学校は耶蘇だって言うが、それが少し気に入らない。