Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
Lesen Sie 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.569 Zeichen · 222 Bildschirme
あたかも何か抵抗するものを見つけて身を打ちつけずにはいられないように。
河蒸汽の残して行く高い波がやって来た。舟から離れて泳いでいるものはいずれもそれを迎えようとして急いだ。波は山のように持上って来る。どうかすると捨吉はずっと後の方へ押流された。その度に彼は波の背に乗って、躍りかかって来るような第二の波をかぶった。一時はシーンとするほど深く沈んだ身体が自然と浮いて来て、段々水の中が明るく成ったと思うと、何時の間にか彼は日の反射する波の中に居た。旧両国の橋の下の方から渦巻き流れて来る隅田川の水は潮に混って、川の中を温暖く感じさせたり冷たく感じさせたりした。浮いて来る埃塵の塊や、西瓜の皮や、腐った猫の死骸や、板片と同じように、気に掛るこの世の中の些細な事は皆ずんずん流れて行くように思われた。
捨吉は頭から何からすっかり濡れて舟へ上った。両方の耳からは水が流れて来た。その身体を日の光の中に置いて、しばらく波の動揺に任せていた。
「兄さん」
と岸から呼ぶ子供の声がした。弘だ。弘は母親に連れられて大川端へ歩きに来ていた。
「弘さん」
と捨吉も舟の上から呼びかわした。