Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
それはもはや烏合の衆であった。僅かに皆を四散から踏み止まらせているのは、同じ危険と同じ運命にさらされているという共通の意識からであるように宇治には思えた。俺は俺のために生きよう。あえぎ進みながら宇治は此の時はじめてこう思ったのだ。あの難行軍を、女の足でどうしてついて来たのか。また南入口の砲撃の場をどうして女が花田に肩を貸し得たのか。それらはすべてわからない。わからないけれどもそれはふしぎな現実感をもって宇治の思いにかぶさって来る。
道は歩くにしたがって次第に湿気を帯び始めた。会話が途断れてから二時間ほど黙りこくって歩いた。幽かな径の跡が二叉にわかれている。何れをとってもさほど逕庭はない途だと高城が言うので、彼は暫く考えた末、山に入る道を選んだ。だんだん密林が深くなり、巨大な樹が多くなり出した。樹々の幹肌に寄生木が蒼黒い葉を茂らせ、蔦が梢をおおって這っていた。地面には羊歯科の植物が茂るまま茂り、幹々の奥の薄暗がりを蛍に似た発光体がすいすいと飛んだ。道はやや乾き、時々どこかで山水の流れる音もした。道幅は四五尺程である。宇治が先に立ち、高城はあとにつづいた。