Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
「道は間違いないな」
「大丈夫です。あと二三時間もすれば旅団司令部に着きます」
旅団司令部は予定の後方陣地の中央にあった。花田中尉の所在はそれより北方三粁の地点である。日が暮れる前に到着出来るだろう。彼は何となく時々背後の高城を振り返って見た。疲労がもはや宇治の肩を重くしていたが、高城は若いだけにまだつかれを見せていない様子であった。振り返る度に高城は彼の顔に眼で笑いかけた。
「お前は衛生科だったな。花田軍医の直接の部下だな」
「そうです」
「パラウイ島に居た時、花田の当番兵をやっていたのは、お前だったのではないか」
「そうです」
「そうすれば」と宇治は言葉を切った。「お前は自分の上官を殺すことになる」
ついて来る高城の息づかいが少し荒くなったようであった。一寸経ってあえぐような口調で、
「命令でありますから――」そして後は口早に言った。「しかし私が悪いのではありません」
「誰もお前が悪いと言ってはしない」
宇治はそう言いながら、冷たい笑いをぼんやり頬にうかべた。「それはどうでも良いことだ」
そして暫くして「殺されなくても皆死んで行く」宇治はこの言葉を自分に言いきかせるように呟いていた。