Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
宇治に判っているのは、あのアパリで窓から見た一瞬の光景だけであった。
――俺は花田をどう思っているのか?
物影にしゃがんで息を凝らしていたあの時、宇治が感じていたことはまことに複雑であった。暗い道をひとり米軍飛行士を探し求めて歩きながら、そしてあの光景を見たのだ。それは異様なものを見た単純な驚きではない。もっと深い、言わば静かな怒りのようなものであった。あの時の花田の顔があまりにも幸福そうに見えたから、それに対する反感もあったのかも知れなかった。しかし宇治はその時の気持を自分でもはっきり掴み兼ねている。花田がインタアルに行ってから毎夜、宇治はぼんやりと花田のことを考えていた。それはただならぬ切迫感で宇治の心に挑んで来た。
――俺は花田を憎んでいるのか?
そうだとも言い切れない。思考をつづけて行くと何か薄い膜があって、それが彼の判断を狂わして来るようであった。やがて自分も花田と同じように逃亡する破目におちるかも知れない。その予感が、花田の放恣な行為を憎むことから今まで彼を遠ざけていたのではないのか?
林がだんだん薄くなり、草山が見えて来た。何の確信もなく宇治はあるいた。