Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
「ダスラじゃないのかね?」
「いいえ。ダチュラ」
五郎はまだ考えていた。口の中で言ってみた。
「エンゼルズトランペット」
「ゼンソクタバコ」
音が似ているじゃないか。彼はもう一度、二つの言葉を発音してみた。たしかに舌の廻り具合が似ている。ゼンソクタバコの方が、原音から訛ったのだろう。
「なにをぶつぶつ言ってるの?」
「いや。何でもない」
「遠くからあんたは、何のためにやって来たのよ?」
それは君と関係ないと、いつもならつっぱねる筈だが、時は黄昏だし、女の言葉や態度が開放的だったので、つい五郎は応じる気になった。
「まあ、見物かな」
五郎は湾の方を指差した。
「あの岩の島の名は、何だったかしら」
「双剣石よ」
二つの岩がするどくそそり立ち、大きい方の岩のてっぺんに松の木が一本生えていた。その形は二十年前と同じである。忘れようとしても、忘れられない。
「君はここの生れかい。戦時中、どこにいた?」
「ここにいました」
「じゃ戦争の終りに、この湾で溺れて死んだ水兵のことを、覚えてるかね。覚えてないだろうね」
「覚えてる。覚えているわ」
女は遠くを見る眼付きになった。
「あたしが小学校の五年の時だった。