Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
歩くにつれて、右手の風景、防風林や砂丘の形は、次々に変化するが、左手の海はほとんど変らない。砂は白く粒がこまやかで、ところどころに貝殻が散らばっている。片貝や巻貝。砂や浪に磨き上げられ、真白に輝いている。五郎は時々立ち止り、珍しい形や美しいのを拾い上げて、ポケットに入れる。
約二キロ歩いた。
砂丘に上って、腰をおろす。ふり返ると、彼の足跡が浜に一筋つながっている。それを眺めていると、眼がまぶしく、すこし眠くなって来る。疲れて来たのだ。
「すこし飲むか」
まだ弁当を開くほど腹は減ってない。彼は上衣を脱いだ。背中がすこし汗ばんでいる。瓶が少々荷厄介になって来ている。折角の贈物だから、捨てるわけには行かない。五郎は栓を抜き、一口含んだ。甘ったるく強烈なものが、食道を伝って胃に降りて行くのが判る。
五郎はポケットから、貝殻をざくざくつかみ出して、そこに並べる。ついでにもう一口飲んだ。
風景が急に活き活きと、立体感を持ち始めて来た。ぼんやりと明るい風光が、むしろ蒼然と輪郭をはっきりして来る。背中が微風でひやりとする。
「何だかだと言いながら――」
考えが呟きになって出て来る。