Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
「しかし、面白かったよ。またやろうや」
五郎はその会話を聞いていた。最後のその言葉には同感であった。自分が他の人間になることは、何とすばらしいことだろう。爺さんの言うように、恰好は本ものでないが、気持の上では五郎は完全にチンドン屋になり切っていた。
〈たとえばこんな風に――〉
五郎は今流木の傍に投げ捨てたサイダー瓶を拾い、ついでに流木の枝を折り取ろうとしたが、樹液をうしなった枝はしなうばかりで、幹から離れようとしない。そこらを捜して、細長い石を拾う。弁当は腰にくくりつける。
「それっ――」
足を斜めに踏み出しながら、瓶を石でたたく。ひょいひょいと飛び交いながら、
「チンチン、ドンドン」
「チン、ドンドン」
誰も見ていないでもいいのだ。ただ一人五郎は、踊りながら砂浜を行く。しかし三十メートルほど行くと、さすがにくたびれて、足がもつれる。彼は踊りやめた。そのまま腰をおろそうとして、砂丘に眼をやると、そこに見物人が一人いるのを見つけた。子供である。そちらに歩を踏み出すと、その子供はあわてたように、水の中に入った。そこは入洲みたいになっていて、細い水路で渚から海につながっている。