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Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

阿蘇に登ってもいいな、と五郎は考えた。彼は学生時代、二度阿蘇に登ったことがある。しかし二度とも、眺望には失敗した。一度は雨で、火口はほとんど視界ゼロで、何も見えなかった。もう一度は晴天だったが、もう直ぐ火口に達する時に小爆発が起きて、火口にいた何百という登山客が、算を乱して急坂をかけ降りた。まるで映画のロケーションみたいだと五郎は一瞬見とれたが、その間にも小さな火山弾が彼のまわりに落ちて来て、ジジッと煙を上げた。

〈しかしほとんど危険は感じなかった〉

と五郎は思う。まだ若くて、生命力にあふれていたのだろう。生命に対して自信があったのだ。今とは違う。

三田村は五郎の良友であると同時に、悪友でもあった。酒色を本格的に教えたのは三田村である。いつだったか、盛り場で酒を飲み、下宿に戻る途中、赤提灯を軒にぶら下げた売春宿があった。それを指して三田村は言った。

「この店にだけは泊るなよ。あとできっと後悔するから」

「なぜ?」

「理由はどうでもいい。泊るなというだけだ」

三田村は同年輩のくせに、へんに老成し、先輩ぶりたがるところがあった。五郎はそれがいやだったし、その時も心の中で反撥を感じた。