Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
「今日吹上浜に行ったらね、林の中に大きな縄が置いてあった」
「ああ。十五夜綱引のことですな」
「綱引? やはり綱引をするのかい。誰が?」
「皆がです。町中総出で、夜中にエイヤエイヤと懸声をかけもしてな」
「どんな意味があるんだね?」
老若男女が綱をにぎって、エイヤエイヤと引っぱり合う。その夜の情景は髣髴と浮んで来たが、にぎやかな和気より、別のものがまず彼をおそって来た。あんまはしずかな口調で話題を変えた。
「お客さあは今日、浜で踊っておいやったそうでござすな」
「なに?」
同じ質問をあんまは繰り返した。
「誰にそんなことを聞いた?」
「運転の人いです。あや、わたっの知合いござしてな」
あんまは煙草をもみ消して、耳にはさんだ。
「踊いもやっとござす。町中総出で」
沈黙が来た。少年が彼の無意味な踊りを見る。髭剃りの途中に伊作まで走り、父親にそのことを報告する。父親があんまに告げ口をする。少年はどんな報告を父親にしたのだろう。父親を儲けさせるために、車ごと床屋につれて来たのか。
「もういい。いくらだね」
自然ととげの立った声になる。言われた通りの代金を支払う。あんまが出て行ったあと、彼は膳を引寄せ、布団に腹這いになった。