Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
「明日、阿蘇に登ってみようかな」
思わずそんな言葉が口に出た。すると急にそれは彼の中で現実感を帯びた。さっきの橋の上から眺めた時、眺めるだけの眼で、彼は山を眺めていたのだが。――
〈よし。登ってやる!〉
三田村の電報が、底にわだかまっている。気合としては昨夜の温泉で、あんまを呼ぶために、呼鈴を押した感じに似ていた。しかし呼鈴を押したばかりに、妙な段取りが完成した。
「そぎゃんですか。そぎゃんしまっせ。明日もよか天気ですけん」
「保証するのかい」
「保証しますたい」
女は笑いながら、彼の肋骨を一本一本押えた。スラックスに包まれた厚ぼったい膝が、彼の脇腹を自然と押す形になる。その感覚に自分をゆだねながら、彼は三田村のことを考えていた。
〈あいつは明日来るというが、何で来るのだろう。飛行機か、それとも汽車か〉
背中より肋の方がくすぐったかった。
「ここの空港は、どこにあるんだね?」
「水前寺の先、健軍ちいうところですたい」
「健軍? 昔は陸軍の飛行場じゃなかったかな」
名前に覚えがある。彼は海軍暗号なので、健軍からの直接の通信はなかったが、電文に時にその名が出て来たような気がする。