Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
本郷の大学前の電車通りを、轟々と音立てて電車が通った。葉の散りかかった銀杏並木の上に、天が凄まじい高さで拡がっている。大学の塀の下は、銀杏の実がぶよぶよと落ちてつぶれて、人達はすべって転ばないように鶏に似た歩き方をする。私もその中に混ってわざと鶏の歩き方の真似をして歩いた。そして鶏の脚――と考えて外套のポケットの中で指をむずむずさせた。あのぶつぶつのある、刀のさやに使う鮫皮のような、黄色に赤を混ぜたような。
満員の電車が無茶苦茶な音を立てて引っきりなしに奔る。自動車や自転車が走る。疲れ切った顔をした男や女が私を追い越したりすれちがったりする。何か考え事して歩いていると、ふとしたとたんに何を考えていたのか忘れてしまって、ええ何だっけなあ、ええ、と私は思わず首筋をたたいた。何だか大へん面白い愉快なことを考えていたような気がして、忘れたのが不快に思われた。あきらめて又外の事を考えておると、頭の調子が空想に乗って快よく流れ出したと思われた時、又考えの尻尾を見失って私は段々いらいらして来始めた。私は不機嫌な表情をつくって正門前の電車道を横切った。
此の頃疲れている、と私は思った。