Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

昔、琉球にある王様がいたが、ある日他の島に遊びに行って、その島の娘と恋に陥っている間に、本島の方では革命が起って王位を取られてしまった。此の王様が僕の祖先に当るのだと、ある夜天願氏が酔っぱらって私に話したことがある。本当かうそかは知らないが、そんな名門の出だから生活費も家から送って来るのであろうと私は想像した。天願氏とは数年前に知りあった。何となく知り合った。私達にふさわしい知り合い方をした。

殺気だった部屋から逃れて、不意にこんな明るい灯の下に来たので、何となく落着かない。娘の死んだことが、何だか夢のように現実感が無かった。ちぐはぐな気持になって三人で冗談ばかり言い合った。

「年頃の娘が死ぬのは惜しい気がするね。何となく損をした様な気になるね」

天願氏が眼玉をぎょろぎょろさせながら私の顔を計るように見て言った。

「君は又肥えたね」

「そうですか」と私は頬のあたりを撫で廻した。

「はれてるんじゃないか? 近頃君は段々円生に似て来たよ。円生が無精鬚を生やしたようだよ」

私は高座の三遊亭円生の顔をふと思い浮べた。あんなぶざまな肥え方に私をなぞらえる天願氏の下心が、私の心に伝わってとげを刺した。