Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

女学校のときの友達なのだろう。蓬々と生えた眉毛の下に泣きはらした目があった。

私達は枕頭に並んですわった。どうしていいのか判らない。恐しく悲しいような、むなしいような気がする。手や視線のやり場がなくて窮屈な感じに堪え難くなった時、死床の裾を迂回して向う側にすわったおかみさんの手が、顔をおおった白い布をはぎとった。私はぎょっとして背筋に水を浴びせかけられたような気がした。

死骸がうすら笑いを浮べていたのである。絶対に見てはならぬものを見たような恐怖感が私の全身をゆすった。ああ、死骸がわらっている。昔見た映画のスメルジャコフみたいな残忍な笑いが死貌の鼻のあたりにただよっているのである。私は思わず身ぶるいして目をつむった。寝床の裾のところで、歔泣の声が起った。それと一緒に瞼を焼くような熱い涙が一粒、私の眼から流れ出た。

暫くして眼を開いたら、もう白布が顔にかぶせてあった。布の上から鼻の高みがうかがわれた。髪は解いてあって畳の上にさらさらと流れている。その髪に光がなかった。それは氷よりも冷たい感じがした。

あいさつして立ち上って廊下に出たら、おかみさんがあわてて立ち上って追っかけて来た。