Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

私は意味なく呟きながら、体を硬くしていた。天願氏がうめきながら寝がえった。私はそっと立ち上った。

障子をあけて、音のせぬように布団を取り出してしいた。電灯を消して暗闇になった底で、静かによこたわりながら私は眼をぱちぱちさせていろいろ考えていた。私には立派な生活は出来ぬ。どのみち退屈を食ってしか生きられぬ男だ。蓬莱町まで行きながら又引き返して来た自分のぶざまな恰好を私は自嘲した。

闇の中にいろいろなものが見えるような気がする。私はそれを一つ一つ探りあててやろうと酔眼を働かした。闇の濃いところやうすい所が渾然とある方向に動いたような気がした瞬間、いつか複写で見た事のある古い絵が忽然として眼前に浮んで来た。――川があって古い木橋がかかっている。何十人という座頭が押し合いへし合いしながらそれを渡るのだ。その幻覚の風景が急速に現実感を加えて来たと思った時、私は呼吸が苦しくなった。座頭等の呼吸の音が聞こえて来る。座頭が二三人橋からころび落ちそうになる。悲しげな座頭等の表情が一人一人手にとるようにわかった。そして、その風景の中でも風が座頭の衣を吹き、川浪を起し、中空に吹き荒んでいた。