Japanische Klassiker mit Furigana
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やりがたけだいさんかいとざん
槍ヶ岳第三回登山
小島 烏水
Lesen Sie 槍ヶ岳第三回登山 (やりがたけだいさんかいとざん) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.115 Zeichen · 11 Bildschirme
岩角に一人ぼっちに突っ立って、四方を見廻わした、未だ午前である、硫黄岳の硫烟は、曇り日に映って、東の方へと折れて、連山の頭へ古い綿を、ポツリポツリとっては投げ出すように、風に吹き飛ばされている、乗鞍岳が濃い藍色に染まって、沈まり返って、半腹には銀縁眼鏡でも懸けたような雲が、取り巻いている、遠くの峰、近くの山は、厚ぼったい雲の海の中で、沈鐘のように、底も知られず浮き上らずにいる、その瞬間に幻滅する、恐怖すべき透き通った藍色は、大山脈の頭を見ているというよりも、峡間から大海の澄み返って湛えているのを見るようだ、その中で我が槍ヶ岳という心臓が、日本アルプスという堅硬な肉体に、脈を搏っているのだ。
動揺する、動揺する、天上のものは皆動揺して一刻も停まってはいない、霧は乱れ、雲は舞って、山までが上ったり、下ったりしている、森林も揺々と動いている、私は森厳なる大気の下で、吹き飛ばされそうな帽子をしかと押え、三角標の破片に抱きついて、眼下に黒く石のように団欒している一行の人たちを、瞰下しながら、無限の大虚からの圧迫を、犇々と胸に受けた。
絶壁の下なる大深谷からは、霧がすさまじい