Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
「私はそうは思いません、死んだ兄も尊敬していたし、兄が殺された晩にも、私たちは原田さんに匿まってもらったんです」
「その話はあとにして、あたしのうちへいらっしゃい」とおみやは云った、「この向うの、材木町の裏にあるの、それこそ汚ない狭っくるしいうちだけれど、兄と二人だけだから遠慮はいらないし、あなたの泊るところぐらいあってよ」
「しかし、私は、――」
「だって、原田さまを訪ねていって、大丈夫だっていう証拠はないんでしょ」
新八は黙っていた。
「あたしとあなたとは、そっくり同じような身の上なのよ、そうでしょ」とおみやは云った、「いらっしゃい、あなたのお年では世間がわからないから、自分だけの考えでなにかするのは危ないわ、あたしでよければお力になってあげてよ、ね、いっしょにいらっしゃいよ」
新八はようやく、だが不決断に頷いた。
おみやはちょっと迷った。新八を説きふせるまでは、どうかして家へ連れてゆこうと思ったが、彼が承知したとたんに、兄のことが頭にうかんだ。
――あの呑んだくれが。
とおみやは思った。
――きっと怒るにちがいない、怒って乱暴するかもしれないわ。
しかしおみやは、すぐに肚をきめた。