Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
」
「札の交換ですかな」富塚が云った、「弾正さまは一ノ関さまへ、一ノ関さまは」
そのとき安芸が咳をした。から咳で富塚をさえぎり、そして云った。
「吉岡(大学)どのはいつ帰国されますか」
「私ですか、私は、――」と大学は持っている盃を見た。
安芸はしずかに云った、「すぐ江戸番になるのだが、在国が解けておらぬのだから、いちおう帰国しなければならぬでしょう、この老人といっしょにお帰りなさらぬか」
「有難うございますが、所用がございますので、四五日のうちに帰ろうと思います」と大学は答えた。
彼はむっとしていた。自分の話したことには重大な意味がある、伊達家の将来のために、ここでぜひはっきりさせその対策をたてておかなければならないことだ。大学はそう思った。ましてその相手は後見という役についた、これまでも藩政に干渉するふうがみえたのだから、今後はそれがもっと激しくなるだろう。相後見の田村右京は温厚だけの人だし、周防にしても、主膳にしても、大条はむろんのこと、一ノ関を抑えることはできまい、大学はこう思った。
――かれらに一ノ関を抑えることはできない、周防も主膳も兵庫も、おそらく一ノ関に操縦されるのがおちだろう。