Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
「あの和尚さんときたら、これまで一と月と続いた人がないんだから」
「あらそうかしら」おみやは茶を啜った。
「そうかしらって、おまえさん思い当ることはないの」
「いいえ、べつにそんなことはないわ」
「へえ、それじゃあ合っているんだね」と女は云った、「これまでは和尚さんのほうで気にいらないか、和尚さんが気にいれば女の人のほうで逃げだすかで、ほんとのところ一と月と続いたためしがなかったのよ」
「だって、どうして逃げだすのかしら」
「わる好みをするっていうじゃないの」
「いやだわ、おばさん」とおみやはにらんだ。
「そうじゃないの」
「いやだ、おばさんったら」
「ひどくつよいうえに、わる好みをするっていうじゃないの」と女は云った。女は茶碗を置き、莨盆をひきよせて、いっぷく吸いつけた、「いちど花魁をひかせたことがあったけれど、廓づとめをしたその人でさえ、躯がもたないって逃げだしたくらいよ」
「そうかしらねえ」
「思い当るでしょ」
「わからないわ」とおみやは云った、「あたしは親切で思い遣りのある、いい人だと思うけれど」
「だからあたしが合ってるって云うんだよ」と女が云った。
女は唇を舐めながら、あけっぱなしな口調で、露骨なことをずけずけと云った。