Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
おみやは身ぶるいした。浄妙院の住持との、飽くことを知らない、膏ぎった時間のあとで、新八の憔悴した姿が、却っておみやを強く唆った。
彼女はおののきながら、手ばやく下衣ひとつになり、襖をしめて、新八のくるまっている、夜具の中へすべりこんだ。新八は呻いて躯を伸ばした。おみやは彼にしがみついた。新八はまだよく眼がさめず、呻きながら首をぐらぐらさせたが、おみやの足が絡まったとき、
「あ」といって眼をあいた。
「眼がさめて、新さん」おみやは荒い息をした。
新八は彼女を突きのけ、なおしがみついてくる手足を乱暴にふり放して、立ちあがるなり手で唇を拭いた。
「けがらわしい、たくさんだ」
おみやは起き直った。裾が捲れて、太腿まで見えるのにも気がつかず、おみやはびっくりしたような眼で、茫然と新八を見あげていた。
「私は騙されていた」彼は手の甲でまた唇を拭き、ふるえ声でつづけた、「でも、もう騙されやしない、私はすっかり聞いてしまった、貴女は、みだらな、けがらわしい人だ」
「けがらわしいですって」
「けがらわしいさ」
「なにがけがらわしいの」
「自分で知らないのか」
「大きな声をしないでちょうだい、隣りへ聞えるじゃないの」