Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
一と月ほどまえに初めて経験し、それ以来ずっと繰り返されてきたその習慣は、彼の躯を縛りつけるばかりでなく、考える自由をさえ縛りつけるようであった。
「しかしおれは逃げだすぞ」と新八は口の中で呟いた。
おみやの、陶酔のあとの、やすらかな寝息を聞きながら、彼は、自分が逃げだすだろう、と思った。必ずここから逃げだしてみせる、おれにもまだそのくらいの力はある、彼はそう信じた。
どのくらい経ってからか、新八はふと眼をさました。するとそこに人が立っていた。彼は痺れるような眠りのなかで、眼をさまし、そこに立っている人を見た。その男は新八を見ていた。
「みや、起きろ」とその男は云った。
新八ははっきり眼をさました。しかし動けなかった。その人は柿崎六郎兵衛であった。六郎兵衛は冷やかな表情で眠りこけているおみやの肩へ足をかけて揺すった。おみやはねぼけ声をだした。新八はぞっとして眼をつむり、吐きそうな気持におそわれながら、寝返りをうった。
おみやのねぼけた声は、無知と、卑しさそのものであった。自分のそんな姿を見られた、救いようのない汚辱感のなかで、新八はおみやを呪った。
「新八も起きて来い」