Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

「伊東さまらしいこと」

鳥羽は微笑し、片手で頬を押えながら、またじっと、甲斐の眼をみつめた。

「たぶんなにか懐柔する策があったんでしょう、大いに自負していたようですが、茂庭家ではむろん奥へとおしはしません、こちらで、と控えの間へいれられたまま、ついにめどおりかなわずです」

「原田さまもお人の悪い、どうしておとりなしをしてあげなかったのですか」

「そんなことをすれば、七十郎は怒りますよ」

「お怒りになるんですって」

「怒りますとも」と甲斐は云った、「彼は立派に自負していたんですからね、私がよけいな口をきいたりすれば、彼の誇りを傷つけることになるでしょう」

「伊東さまもむずかしいことね」

「私はわる酔いをして泊ってしまったので、彼がいつ帰ったか知りませんでしたが、まさしく彼はその角を折ったと思いますね、そうではないか、七十郎」

「私は自分に角があったとは思いません、したがって、ない角を折ることもできないと思うんですがね」

「里見どのの感想はどうですか」と甲斐が云った。

十左は当惑して、なにかぶつぶつと口ごもった。

「話しの途中だが」と柴田外記が云った。

つとめて感情を抑えているらしいが、五十二歳の彼の眼や、その声の調子には、隠しようもなく怒りがあらわれていた。