Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
甲斐の額に皺がよった。横に三筋、くっきりと深く皺をよらせ、片手で静かに、火桶のふちを撫でた。
「一ノ関はまた訴えを利用するだろう」と周防はつづけた、「無根の条目を牽強付会して、私の罪状をつくりあげ、私を国老の席から放逐するに相違ない、これでも対抗策をたてる必要がないと思うか」
「松山は疲れている」
「私は首席国老に坐っていなければならない、藩家を犯そうとする勢いをくい止めるために、第一の堤防として、この席を動くことはできないのだ」
「松山は疲れている」と甲斐はまた云った。
周防は昂奮をしずめるように、袖で口を押えて咳をした。甲斐は静かに眼をあげた。
「吉岡が一ノ関と組もうとしていることは、あるいは事実かも知れない、しかし、それが本心でないことは、一ノ関がよく知っている」
「本心でないとは」
「吉岡の本心は、むしろ一ノ関を押えることだと思う」
周防はまた訝しそうな眼をした。甲斐はゆっくりと云った。
「七月の評定役会議で、遠山勘解由がひとり異をとなえ、渡辺金兵衛ら三名を訊問にかけた」
「それは聞いている」
「遠山勘解由は吉岡の弟で、彼を評定役に推したのは一ノ関だ、それにもかかわらず、勘解由は一ノ関に盾をついた」