Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

それからやがて、そっと顔をあげた。

「来年はいつごろ出ていらっしゃいますの」

宇乃はそう云いながら、ようやく甲斐から身をはなした。

「よくわからない」と甲斐は答えた、「今年は春に帰る筈だったのが、いろいろなことでいままで延びてしまった、だから本当なら来年の春に出府する順序だけれども」

「では再来年になりますの」

「たぶんそうなるだろう、しかし来年また出て来なければならなくなるかもしれない、どうなるか」と甲斐は太息をついた、「どういうことになるか、いまここではなんとも云えない」

宇乃はまた樅ノ木のほうを見て、それからおちついた声で訊いた。

「なにか宇乃でお役に立つことはございませんの」

「ないだろうね」と甲斐は微笑した、「そんなことのないようにしたいものだ」

「宇乃はまだそんなに子供でしょうか」

「そういう意味ではない、宇乃には弟がいる、虎之助をしっかりみてやるのが宇乃の役だ、それも決して楽な役ではないだろう、このあいだのような事もあるしね」

宇乃は頷いた。

「さあ、寒いから中へおはいり、私はもうゆかなくてはならない」

宇乃は甲斐を見あげた、「わたくし、今日のお話しをよく覚えておきますわ、蔵王のお山や、青根の湯泉や、白石川や阿武隈川のことを、――宇乃はいつかそれをみんな見ることができますのね」