Japanische Klassiker mit Furigana
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はし
橋
池谷 信三郎
Lesen Sie 橋 (はし) von 池谷 信三郎 (いけたにしんざぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.108 Zeichen · 37 Bildschirme
眼筋が働きを止めてしまった視界の中に、重なり合った男の足跡、女の足跡。ここにも感情が縺れ合ったまま、冷えきった燃えさしのように棄てられてあった。
いきなり街が明るく光りだした。劇場の飾灯が、雪解けの靄に七色の虹を反射させていた。入口にシイカの顔が微笑んでいた。鶸色の紋織の羽織に、鶴の模様が一面に絞り染めになっていた。彼女の後ろに身長の高い紳士が、エチケットの本のように、淑やかに立っていた。
二階の正面に三人は並んで腰をかけた。シイカを真中に。……彼はまた頭の中の積木細工を一生懸命で積み始めた。
幕が開いた。チァイコフスキイの朗らかに憂鬱な曲が、静かにオーケストラ・ボックスを漏れてきた。指揮者のバトンが彼の胸をコトン、コトン! と叩いた。
舞台一面の雪である。その中にたった二つの黒い点、オニエギンとレンスキイが、真黒な二羽の鴉のように、不吉な嘴を向き合せていた。
彼は万年筆をとりだすと、プログラムの端へ急いで書きつけた。
(失礼ですが、あなたはシイカをほんとに愛しておいでですか?)
プログラムはそっと対手の男の手に渡された。男はちょっと顔を近寄せて、すかすようにしてそれを読んでから、同じように万年筆をとりだした。