Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
ただ世界はあるがままの姿をとってひとり暗澹(あんたん)と廻っているだけなのだ。梶はどこからか悪魔の笑声の聞えて来る思いのままに虚空を眺めているとき、人人は立ってツァラアに握手をした。それぞれ帰って行くのである。梶も友人と一緒に帰ろうとして握手をしようとすると、
「もうしばらくいませんか」
とツァラアは二人に云った。一同の姿が見えなくなるとツァラアは二人をつれて三階の自分の書斎に導いていった。そこにはテーブルの上と云わず壁と云わず無数のアフリカ土人の黒黒とした彫刻の面が置いてあった。梶は奇怪な覆面に取り巻かれた感じで部屋の中を見廻していると、ツァラアは梶と向き合って立った。
「来客が沢山で日本のお話を聞けませなんだが、日本はどういう国ですか。僕は他の国のことならどこの国でも多少は想像がついているのだけれども、日本だけは少しも分らない」
静に低く云いながら梶を見るツァラアの眼は射るように光っていた。物云うたびに、梶は自分が日本人であることを意識せずには何事も出来ぬ気苦労をヨーロッパへ来て新しく感じたが、殊に日本をどのような国かと訊かれる質問に対してはいつも一番彼は困るのであった。