Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
厨房日記
厨房(ちゅうぼう)日記
横光利一
こういう事があったと梶(かじ)は妻の芳江に話した。東北のある海岸の温泉場である。梶はヨーロッパを廻って来て疲れを休めに来ているのだが、避暑客の去った海浜の九月はただ徒(いたず)らに砂が白く眼が痛い。――
別に面白いことではない。スイスのある都会にあった出来事だ。そのときは丁度ヨーロッパ大戦の最中で、非戦国のスイスは各国の思想家の逃避地のこととて、街は頭ばかりをよせ集めた掃溜(はきだめ)みたいなものだ。スイスを一歩外へ出れば現世は血眼(ちまなこ)の殺し合いだ。良いも悪いもあったものではない。何ぜ殺し合うのか誰も知らぬ。ただもう殺せばそれが正義だ。このようなヨーロッパの知性の全く地に落ちた時、スイスのその街ではシュールリアリズムという心理形式の発会式が行われた。その一団の大将はルーマニア人で詩人だ。一団は発会式に招待する街の有力者全部に招待状を発した。さていよいよその日になってシルクハット、モーニングの市長を初め、紳士淑女が陸続と盛装で会場へ詰めかけて来た。しかし、いつまでたっても会は一向に始まらない。そこで皆はぶつぶつ云い出した。