Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
ある日、梶は自分のいる温泉場を中心とした地方のレールの敷き方を検(しら)べてみた。一カ所を仔細(しさい)に見れば、そのレールは全国共通に通じた個所があるにちがいないと思ったからである。すると、意外なレールの素質が梶の眼の前に現れて来た。
その市は人口三万ほどある市である。周囲は米の産地として有名な地味肥沃(ひよく)の庄内平野に包まれているので主産物は米であった。この市の領主はむかし徳川家と特殊に親密な関係があったから、維新の革命のときには領内の士族は当然徳川とともに滅亡すべき運命を持っていた。そこで領内の士族は立って朝廷と一戦を交える覚悟のおり、西郷隆盛がひそかにこの地へ乗り込んで来たのである。このとき家中に一人の傑物の家老があって、これが西郷と会談の結果ともに人格が相映じ、鉾(ほこ)を納めて無事家中を安泰ならしめた事実があった。しかし、このとき、謀叛(むほん)の証左を無くするため人知れず軍用金をある信用すべき商人の一人の手中に隠した。領主を中心とする士族の一団の生活費は、以来この商人の手中にあって今に至っているというのである。この噂(うわさ)はどこまで信用すべきものであるか誰にも分らない。